リーフィアと歩む緑統一の軌跡

ポケモン全国図鑑「緑」検索のポケモン達と共にポケモンバトルに挑む自称猫の育成記録

短編二次創作「シーライトの希い」

今月末に忙しさのピークを迎えつつある猫です、こんにちは。

 

先日、にこいち様制作「オートマタは星に願う。」というシナリオにPLとして参加した猫ですが、セッション終了後に後日談を書きたい衝動が興り、気がついたら短編小説が出来上がっていました。久々にこんな速筆で小説を書いた気がします。

執筆の際には、Fate/Grand Order楽曲(OST)「君の願い」、BUMP OF CHICKEN「カルマ」、坂本真綾「逆光」をリピートしながら書きました。興味がある方はぜひお聴きください。

枕草子ではありませんが、初めは身内以外に見せるつもりではなかったため、猫の探索者及び他の方の探索者との交友関係を多分に含む自己満足短編となっております。一応、簡単な人物紹介を付けておきますが、読まなくてもそれとなく大雑把な空気は味わっていただけるかと思います。

あらかじめ言っておきますが、人物紹介の内容は一切盛っていません。


KPをしてくださった上、探索者の使用を二つ返事で許可してくださったぴーさん。短編執筆にあたって無茶な台詞発注を快く引き受けてくださったツキナミさん。そして、短編掲載を許可してくださった作者のにこいち様。お三方に最大限の感謝を込めて。

拙い文章ではありますが、読者の方々に少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

 

 

 


※以下、にこいち様制作「オートマタは星に願う。」のネタバレを含みます。その旨ご承知おきの上、どうぞご覧ください。

 

 

 


【人物紹介】

草加怜(34歳男性/医者/PL:猫)

https://charasheet.vampire-blood.net/1407615

本セッションPC参加。草加診療所という名の小規模な診療所を営む医者。重度のお人好しにしてPLが匙を投げる程の鈍感系主人公。一時期、深緑と同居しており、非常に可愛がっていた。クトゥルフ神話技能28。


ミフネ・ムレーヌ(30歳男性/薬剤師/PL:ツキナミ)

https://charasheet.vampire-blood.net/1658770

毒吐く(元)闇医者。深緑を異世界から助け出し、彼女の戸籍を用意して草加怜に託した人物。いつの間にか本人も草加診療所に転がり込んでいた。クトゥルフ神話技能27。


小鳥遊悠(22歳男性/作家/PL:ぴー)

https://charasheet.vampire-blood.net/1868038

巷で売れっ子の作家。異世界草加深緑に助けられて生還を果たす。その後、鳩となった深緑と共に生活しており、たまに草加診療所に顔を出してくれる。クトゥルフ神話技能28。


深緑(みどり)(17歳少女/放浪者/PL:???)

https://charasheet.vampire-blood.net/1658254

異世界でミフネに助けられた白髪紅眼の少女。その後、草加怜と共に同居を始めたが、小鳥遊悠を助けるために犠牲になった結果、白鳩になった。現在は小鳥遊の下で生活している。


翡翠(ひすい)(17歳少女/???/PL:???)

https://charasheet.vampire-blood.net/2125433

突如、草加怜の前に現れた少女。元々は人造人間とでも呼ぶべき存在だったが、奇跡的に一命を取り留め、人間として復活した。現在は草加と同居している。瞳が琥珀色ということ以外、深緑と瓜二つの容姿をしている。草加のことは命の恩人として慕っている。


柊杠葉(23歳女性/大学院生/PL:猫)

https://charasheet.vampire-blood.net/1884649

高校時代から一途に草加怜のことを想い続けている女性。全国大会に出場する程の腕を持つ射手。クトゥルフ神話技能6。今回の一件でPL達から付けられた渾名は「不憫」。

 

 

 


【シーライトの希い(ねがい)】

 

「……さん、草……ん、起きてください」

「ん……」

 誰かに呼ばれた気がした。重い目蓋を開き、視界が開けると、白髪に琥珀色の瞳の少女がこちらを覗き込んでいる。

「おはようございます」

 そう言って微笑む少女。幻視する。ほんの少しだけ、面影が重なる。

 ああ、今度こそ、守れたのか。一瞬だけそんな淡い思いを馳せ、しかしそんな思いを即座に否定する。

 この子と彼女は違う。「今度こそ」ではなく「今回は」なのだ。

「おはよう、翡翠さん」

 言い間違えないように、目の前にいる少女の名前を告げる。翡翠、と呼ばれた少女はこくんと頷き、こちらの手を取って起き上がるように促した。

 ほんの少し前、一瞬とはいえ冷たく無機質な物体と化したその手には、確かに人間としての温かさを感じた。

 


 翡翠さんは、オムライスに凝っている。

 初めて出逢った日の夜に自分が作ってあげたのがよほど美味しかったのか、「きっとあの時以上に美味しいものを作ってあげますから」と何度も挑戦しては撃沈している。彼女と生活を共にしてから然程日数は経っていないが既にその日数の倍は朝食と夕食に並んでいるだろう。

 そして今日もまた、彼女の練習の成果が朝食として皿の上に並べられている。回数を重ねる毎に彼女のオムライスは少しずつ完成形に近づいている。最初に出てきたオムライス……というより焦げたコッペパンに似た物体に比べれば、今日のそれは紛れもなくオムライスで、味付けも申し分ない。若干の飽きが来ていることを否定はしないが。

 しかし、肝心の本人は一口食べてから何故か不満げな表情を浮かべている。

「……草加さん。私のと草加さんの料理、何が違うんでしょうか」

 反応に困る。あの時は奇跡的な確率で自分でも驚くほど美味しいものができただけで、もう一度あれを再現しろと言われてもできる自信がない。なんというか、光る石を必死で探したとき並に奇跡的な確率ではないだろうか。

 こちらの葛藤など露知らず、翡翠さんはこちらの返答を少々上目遣いで待ち構えている。そればかりか、頬に空気を溜め、不機嫌そうな目を向けたままじりじりと迫ってくる。そんなこと一体どこで覚えてきたのか。

 何にせよ、答えないわけにはいかない雰囲気だ。言葉にするのは少々堪えたが、数十秒悩んだ末にようやく口を開いた。

「……どれだけ、相手のことを考えているか、ですかね」

「相手のことを、考える……?」

「どんな味が好きなのか、逆にどんな味が苦手なのか。初対面の人はもちろん、大切な人であれば、誰もが美味しいものを食べてもらいたいと思うでしょう?」

「はい。そうだと思います」

「それができるようになったから、翡翠さんの料理は少しずつ上手になっているんです。私にとって、今日はこれまで以上に私のことを想って作ってくれたんだと感じました。だから、自信をもっていいんですよ」

 嘘偽りなく、故に最大限の感謝を込めて告げた言葉。それを聞いた翡翠さんが嬉しげに微笑んだのを見て、自然と自身の頬が緩んでいるのを感じた。

 


 二人で朝食をとった後、すぐに身支度を整えた。洗濯した白衣に袖を通して紺のネクタイを締めれば、普段診察で着ている仕事服の完成だ。

 一呼吸入れ、自宅の扉を開けて下の階にある診療所に続く階段を下りる。その後を、看護師用の白衣に着替えた翡翠さんが追いかけてきた。

 これまで自分の仕事に関して何か頼んだことはなかったが、翡翠さんが「草加さんのお手伝いをしたいです」と言って聞かないので、数日前から待合室で患者さんの話し相手をお願いすることにしたのだ。

 ただ、意外にもお年寄りの方々と話が合うようで、常連の患者さん(何も知らない人達には、翡翠さんのことを「遠い親戚の双子の妹」として紹介している)ともすぐに打ち解けたらしい。

 先日、どんな話をしているか聞き耳を立ててみたら、平日の午後に放送されている恋愛ドラマの話で盛り上がっているようだった。自分はその辺りの知識に疎いので、彼女にとっても話し相手ができてよかったと密かに思っている。

「おはようございます、草加さん」

 階段を下りて診察室に向かう途中で、同じく白衣を羽織った男性から声をかけられた。薄く微笑む三十代程のその男性は、こちらの顔色を伺いつつ、さらに言葉を続ける。

「昨晩は夜間対応してたのにこんな時間に起きて大丈夫なんですか? 寝惚け眼で患者さん診るなんてことないようにお願いしますよ」

 彼は自分よりも年下で、仕事でも一応上司と部下の関係のはずだが、言葉尻だけ捉えれば当たりが強い。ただ、何だかんだで付き合いはそれなりに長い間柄である。口ではこう言っているが、こちらの身を案じてくれているが故の言動だ。

「ええ、分かってます。今日もよろしくお願いします、ミフネさん」

 ミフネ、と呼びかけられた男性は尚も微笑みを崩すことなく、今度は自分の背後に控える翡翠さんに視線を向ける。

「ああ、み……翡翠さんですか、おはようございます」

 翡翠さんに声をかけようとしたミフネさんが何かを言いかけ、咄嗟に言い直す。やはり、翡翠さんに彼女の面影を浮かべてしまうのは自分だけではないらしい。特に、彼は彼女に対して自分以上の思い入れがあるはずだ。

翡翠さんも朝早いようですが大丈夫ですか? 草加さんに生活習慣合わせなくても良いんですよ」

「大丈夫です。草加さんの寝顔を見るのが楽しみなので」

 翡翠さんが今とんでもないことを言ったような気がしたが、それについて問うことはできなかった。我々の話し声が響く以外、誰もいなかった待合室に、カラン、と涼やかなドアベルの音が鳴ったからだ。反射的にそちらを向けば、ちょうど一人の若い男性が玄関口で靴を履き替えているところだった。

「小鳥遊さん? どうされたんですか」

「ちょうど用事があってそこを通りかかったので、ついでと思いまして」

 そう言って、小鳥遊さんは自身の視線を横へと向ける。視線を追えば、小鳥遊さんの左肩には白鳩が乗っていた。

 鳩をこのようにして連れ歩くなど、彼が曲芸師でない限りあり得ないような話だが、彼の職業は作家である。そして、ちょこんと彼の肩に乗っているその白鳩も、ただの白鳩ではなかった。

 そういえば、翡翠さんが初めて草加診療所に来たとき、ミフネさんと小鳥遊さんとは顔合わせをしていたが、その時白鳩はいなかった。確か、小鳥遊さんの妹さんの所で預かってもらっていたのだとか。翡翠さんの姿を初めて見た小鳥遊さんが五度見してから、慌てて妹さんに連絡を取るくらいに狼狽えていたのを思い出す。

 そもそも、ただの医者である自分が、闇医者として生計を立てていたミフネさんと、有名作家である小鳥遊さんと知り合えたのはこの白鳩……深緑さんがきっかけと言える。

 小鳥遊さんの左肩に乗っている白鳩が、深緑さんが、その赤い瞳で翡翠さんを凝視する。翡翠さんも何事かと、琥珀色の瞳で白鳩を見つめ返す。

 数秒、誰も何も話さない奇妙な間が空いて、先に動いたのは深緑さんの方だった。

 小鳥遊さんの左肩から勢いよく飛び上がった深緑さんが、普段は聴かないような甲高い音を立てながら翡翠さんの頭を嘴で突き始めたのだ。

「え、何、何で、きゃっ……痛、っ!?」

「深緑さん!?」

 慌てて小鳥遊さんがミフネさんと協力して深緑さんを抱え込み、こちらは翡翠さんを背後に隠す形で咄嗟に庇う。何とか互いを引き剥がすことはできたが、深緑さんはやや興奮気味で甲高い声を立て続けていた。

 自分と瓜二つの姿の人間が目の前にいれば、誰だって動揺するに決まっている。誰もが一度、いや、自分とミフネさんに至っては未だに面影を重ねてしまうくらい、翡翠さんは「人間だったときの深緑さん」と瓜二つなのだから。

「み、どり……さん……?」

 白鳩のことを三人が「深緑さん」と呼ぶのを聞いて、翡翠さんはおずおずと白衣の背後から顔を出す。翡翠さんの表情に混乱と恐怖が色濃く表れているのはすぐに分かった。

草加さん、あの鳩さんは深緑さんというお名前なんですか?」

「……ああ」

 翡翠さんは現代の常識に疎いところがあるが、非常に聡明な子だ。そして、彼女自身が特殊な出生故に、世界には人類には理解できない異質な存在や現象があることを理解している。

 だからこそ、常連の患者さんが初めて翡翠さんのことを見たときに「深緑さん」と呼ぶ意味を、彼女はきっと理解しているのだろう。

「庇ってくださってありがとうございます。でも、これは私の問題ですね」

 白衣の裾を握りしめる翡翠さんの手は、少し震えていた。小さなその手を上から握りしめれば、ハッと顔を上げて、こちらに対して緩く微笑んだ。

「……大丈夫、です。だって、あの人は草加さんの大切な人なんでしょう?」

 そう言われれば、返す言葉がなかった。

 翡翠さんは横を通り過ぎて深緑さんに近づき始めた。一歩、さらにもう一歩。歩むごとに深緑さんの声は更に大きくなるが、翡翠さんの足は止まらなかった。

「怖がらせてしまって、ごめんなさい」

 歩きながら翡翠さんが告げた最初に言葉は、謝罪だった。

「きっと、あなたはこう思っているんでしょう。『私の偽者が、草加さんを騙して奪い取ろうとしているのではないか』って」

 小鳥遊さんに抱きしめられている深緑さんの声が、徐々に小さくなっていく。

「それは違います。あなたの居場所は、奪われてなんかいません」

 翡翠さんが差し伸べた手が、深緑さんの嘴が届く距離になる。ただ、先程のように深緑さんは突いたり威嚇したりする真似はしなかった。

草加さんは、今もあなたのことを大切に想っています。だから、私はこの姿になったんですから」

 小鳥遊さんから深緑さんを預かった翡翠さんが、両手でしっかりと彼女を持ち上げる。抱きしめるわけではないが、とても大切なものを扱うように丁寧に、慎重に。

 そして、深緑さんを手元に寄せ、頭を下げて小声で告げる。

「どうか、私にあなたの居場所を貸してください。私には、此処しかありません。私を救ってくれたあの人と、少しでも一緒にいさせてください」

 その時、深緑さんがどんな反応をしたのか、終ぞ知ることはなかった。突如として「何か」が診療所の窓ガラスを割って突撃してきたからだ。さらに、その「何か」はガラスの破片を診療所の中に巻き散らし、小気味よい音を立てて診療所の壁に突き刺さった。

「な、何ですか今のは……っ!?」

 あまりにも唐突すぎて足が動かなかった。それは他の面々も同じらしい。翡翠さんは咄嗟に、手元に寄せていた深緑さんをぎゅっと抱きしめて庇ったようだ。

「とんでもないものが飛んで来たと思ったら、これって……」

 ミフネさんが若干顔を引きつらせながら、壁に突き刺さった「何か」を引き抜いて見せてくれた。

 間違いない。弓道で用いられている矢だ。そして、自分の知り合いの中で弓矢の扱いに長けた人といえば、残念ながら一人しか思いつかない。

「もしかして、翡翠さんのことバレましたかね……いや、草加さんの養い方的にバレない方がおかしいですが……」

「え、まさか草加さん、ひょっとしてあの人に何も説明してないんですか……?」

「柊さんに、ですか? 弓道の大会でしばらく留守にすると言っていましたし、そもそも説明するようなことではないと思うんですが……」

 ミフネさんと小鳥遊さんが互いに顔を見合わせたかと思うと、二人揃って溜め息を吐いた。訳がわからない。

草加さんに自覚が無いのがまた難儀な……」

「これは、彼女に少し同情しますね……」

 一体どういうことなのか。二人からの視線が心なしか冷たく感じるのは気のせいだろうか。

 こちらが謂れのない咎を受けている一方で、男三人の様子を見てようやく息を吐いた翡翠さんが、抱きしめていた深緑さんをそっと離す。すると、深緑さんは軽く鳴いたかと思えば翡翠さんの頭にちょこんと着地した。

 その姿は、どこか彼女の存在を誇示しているようにも見えた。

 

 

 今日もいろんなことがあった。

 草加さんと出逢ってから、毎日が発見の連続だ。

 それに今日は、深緑さんと話ができた。「深緑さん」が私のモデルだと何となく理解してから、ずっと言いたかったことがようやく言えて、本当によかったと思う。

「……っ、ぁ……」

 閉じていた瞼を開ける。「眠る」という動作には、まだ慣れていない。こういうのを「寝付きが悪い」というらしいが、生まれてから日も浅いし、何より「以前」は眠る必要がなかったので仕方がない。

 草加さんからもらった縫いぐるみを小脇に抱え、ベッドから起き上がる。暗がりの中で隣のベッドを見れば、そこで寝ている草加さんが魘されているのが分かった。

 自分のベッドから下りて、隣のベッドの側まで静かに近寄った。人の気配を感じないほど深い眠りについているというよりも、夢の中で苦しんでいるから気づけないのだろう。顔色もあまり良くないように見える。

 ミフネさんの言う通り、草加さんは働きすぎだと思う。自分の手の届く範囲と言いながら、困っている人を見過ごせない。自分の身を削ってでも手を差し伸べようとする。私も、そうして助けられた。でも、少し無理をしすぎていないだろうか。

「……、な……い」

 隠しているつもりだろうが、最近このように魘されているせいか、診察と診察の合間に草加さんが眠そうにしているのを何度も見かける。寝不足、というものらしい。

「……ごめん、なさ……い」

 誰に、謝っているのだろう。夢の中の誰かに? どこかで出逢ったはずの誰かに? それとも、深緑さんに?

 そっと、草加さんの手を握りしめる。草加さんが自分を安心させようとしてやってくれたように、優しく、大切な人のことを想って。

「謝らなくていいんです。草加さんが精一杯頑張っているの、私、分かってますから」

 言い聞かせるようにゆっくりと、小さい声でもはっきりと呼びかける。

 しばらくすると、草加さんの寝息が聞こえるようになった。魘されることはなくなり、顔色も少しよくなったように感じられる。

 ほっとしたら急に眠気を感じてきた。名残り惜しくも草加さんの手を離したが、彼の表情は苦しそうではなかったので安心して自分のベッドに戻った。

 掛け布団を上から被って横向きになれば、暗がりの中だが草加さんの様子が見て取れる。落ち着いて寝息を立てている彼の姿を遠目に見てから、ふふ、と微笑んで瞼を閉じた。

 次の日の朝、彼が穏やかに目覚めるのを楽しみにして、私は静かに眠りにつくのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「いやぁ、鳩になった人間と人間になった人形が只の人間と仲良くしているだなんて、随分と滑稽な物語があったものだね」

「あれ、彼女を鳩にしたのは僕だったかな?」

「いずれにしろ、君達の平穏は永遠には続かないさ」

「『彼ら』は既に、混沌と狂気に魅入られているんだから!」

「可笑しなこともあったものさ。君達の健やかな日常を祈っておきながら、『彼ら』は再び君達を深淵に突き落とそうとする」

「それが、君達の宿命だ。だからこそ、あえて僕はこう言うのさ」

「君達の行先に『彼ら』の歓びと、邪神の祝福があらんことを!」