リーフィアと歩む緑の軌跡

大好きなリーフィアとともに歩む日常。最近はクトゥルフ神話TRPGを嗜んでいる。

短編「2019.12.08→2022.04.08」後書き

※注意※

これは短編「2019.12.08→2022.04.08」の後書きとなります。先に本編を読んでからお楽しみください。なお、後半は過去に書いたふせったーのまとめとなります。

 

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苦節852日。28ヶ月を経て、遂に草加あめが目を覚ましました。この日をどれだけ待ちわびていたことでしょう。今日が出勤日でなければ、猫は涙で枕を濡らしていたかもしれません。

思い起こせば2019年12月8日。当時はまだ新型コロナウイルス感染症の影響もほとんどなく、5回目のABC東京オフ(ボードゲーム交流会)が開催された日でした。解散後にオンラインセッションが行われると聞いて特急を使って家路を急ぎ、卓の準備をしたことを今でもよく覚えています。そして猫はその卓で、クトゥルフ神話TRPG人生最大の失敗をしてしまったのでした。

同卓してくださったKPやPLの方々に何らかの非があったわけではありません。提示された情報を読み間違え、判断を誤った責は猫にあります。だからこそ悔しくて、辛かった。

普段「探索者が選択してどんな結末を迎えたとしても後悔しないようにする」ことを信条にしている猫ですが、自探索者のロストならいざ知らず、懇意にしていたNPC(当時「草加あめ」は探索者扱いではなかった)が半永久的に目を覚まさない事態に衝撃を受け、リアルの仕事に影響が出るほど落ち込みました。

そんな状態の猫にKPから提示された温情が「最長で28ヶ月」というものでした。シナリオの展開上、最後に振ったダイスの出目で決定した数値です。それを了承した猫は、後日談を作成して気持ちを整理するとともに「草加葵」という探索者の方向性を決め、待つことを決めたのでした。

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28ヶ月過ぎるのを待つだけとはいえ、猫にとって決して楽な時間ではありませんでした。時間が経つごとに私の頭の中の妄想は膨らんだり縮んだりと、二人の幸せな未来を考えるたびに心穏やかではいられず、何度も悶え苦しみました。反動として、絵師様にイラストを描いていただく度に過度な反応を示すようになったとか何とか。

また、私の中にいる「草加葵」の形は変化し続けました。そして、いくつかのセッションを経た末、自死して蘇ったかと思えば、人間の体を譲り渡して失踪することに。紆余曲折すぎる。

一方で、28ヶ月待って良かったと思うこともありました。「28ヶ月」というのは、当時の猫が数年に渡って任されていた大きな仕事が終わった後のことを指していました。それほどの間目が覚めない事実に驚くとともに、「仕事をきちんと完遂させたらあめちゃんに会える」と前向きに考えるようになりました。超過勤務や深夜労働に苛まれても、28ヶ月後のことを考えれば生きる希望が生まれました。今思えば、大きな仕事をやり遂げられた原動力の一つになったと思います。

さらに、「草加葵がロスト・失踪した」とTwitter上で報告した際、多くの方々からイラストや短編などで反応をいただきました。今となっては猫の探索者も40人近くいるのですが、その中でも草加葵は作品をいただくことが多い探索者です。感謝の念に絶えません。この場をお借りして、改めてお礼申し上げます。こうしてこの日を迎えられたのも、一緒にクトゥルフ神話TRPGをプレイしてくださる皆さんがいたからこそです。未だに飽きることなく続けております。

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誰にも気づかれていないと思うので打ち明けるのですが、草加あめの地の文は「小学生で履修する常用漢字だけ使う(常用漢字でも、難しそうな単語はなるべく漢字を使わない。ただし固有名詞を除く)縛り」をしています。そのため、地の文で漢字を使う度に逐一調べる羽目になりました。めちゃくちゃ骨が折れています。

今回の短編では、草加あめと草加葵に起こっている「すれ違い」を描きたいと考えていました。ただ、草加あめの思考を読み解くのに時間がかかりました。もう一人のPLであるイルハさんとの雑談会話を思い出しつつ、途中経過の文章を送って解釈違いになっていないか確認してもらって導き出した彼女の思考は、「何で葵さんが行方不明になっているか分からない」「でも、自分が二年も寝ていたせいで葵さんに迷惑をかけてしまった。嫌われていたらどうしよう」「もし謝って許してもらえたら、また一緒に生活したい」というものでした。草加葵へ向けられた全幅の信頼が窺えます。

一方で、二年以上神話事象に巻き込まれた末に命を落とし、探索者の真理に至った草加葵の思考は、「あめの目が覚めた以上、何度も死んだ身である自分が生きている意味も道理もない」「自分が側にいることであめを神話事象に巻き込むくらいなら、命なんて惜しくはない」というものでした。自分で書きながらおかしな話ですが、ここまで綺麗なすれ違いを見たことがありません。

そんなすれ違いを少しでも解消する方向に導くために、ツキナミさんとトト丸さんに台詞の提供を依頼しました。お二人が快諾してくださったおかげで、こうして短編を書くことができました。本当にありがとうございます。

なお、草加あめver.が約3000字、草加葵ver.が約6000字。計10000字以内なので短編ですね!!(大声)

そして、今回の短編の挿絵として、人生で初めてのデジタル画に挑戦しました。「この絵の存在だけは誰にも言わずに一人で完遂してみせる」と意気込み、フリーのトレス画を探したり、アイビスペイントの使い方を動画で見て勉強したりしました。正直、短編作成よりもイラストの方に時間をかけた気がします。途中、友人のななむーんさんに泣きついて色の塗り方や背景の入れ方を教えてもらい、ようやく完成までこぎ着けました。

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(なお、上の画像は、完成したイラストから背景とベースカラーのレイヤーを抜いたものです。ペン書きと影だけで意外と雰囲気が出ていてビックリしました。結構気に入っています)

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実は、一年近く前から「草加あめの目が覚めたら、草加葵共々(1PL2PCの)オリシに行きましょう」という有難い提案をいただいています。どう転がっても地獄が広がっている予感しかしません。SAN値も低いので、このオリシを踏破するまで草加葵は積極的にセッションに持っていかない方針です。ただし、探索者となってしまった草加あめは別です。一回くらいRPの練習として連れていきたい所存。「可愛い子には旅をさせろ」と言いますので、猫は血涙を流しながら見届けます。

また、今回の機会に合わせて、草加葵及び草加あめの新規立ち絵をななむーんさん(@Nanamoon_776)に描いていただきました。草加葵のイラストは「猫探集」の依頼前から何度も打ち合わせを行い、互いの趣味を詰め込んだ思い入れのあるイラストです。一方、草加あめのイラストは今年3月末に依頼して急遽描いていただいたのにハイクオリティとなった素晴らしいイラストです。改めて、本当にありがとうございます。

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今後とも彼らの行く末を温かく見守っていただければ幸いです。

最後にひとつだけ。「あめちゃん、おはよう! 待ってたよ」

 

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以下、852日間の中で猫が書いた、草加葵・草加あめに関するふせったーのまとめです。

 

(1)「スクワレヌモノ」後日談SS 草加葵君の今後について(2019.12.09)https://fusetter.com/tw/wugnz

この短編をきっかけに、草加葵の方向性を決定しました。その後、彼は草加あめを助けるために何度かのセッションを乗り越え、奔走していくことになります。猫もその間、彼女のことを忘れないように、二人の行く末を想像したりSSを書いたりしていました。

(2)宮沢よだか様作KPレスシナリオ「びょういんにいきましょう」リプレイ(2020.06.14)https://fusetter.com/tw/FyPdTxRFk

草加葵をKPレスシナリオに連れて行った際、彼のことを語る上で草加あめという存在が不可欠だったため、明言はしていないものの彼女のことを意識してまとめています。

(3)紅音様作「瑠璃色絵画」踏破記念SS(2020.07.08)https://fusetter.com/tw/NRTqvWsl

猫の中で印象に残っているシナリオの一つです。鞍馬さんのエンディング描写で少し救われたような気がしました。

(4)「葵君、授業参観に赴く」(2020.07.23)https://fusetter.com/tw/mVKM4INs

当時の自分が温かい夢に浸りたくてまとめた脳内プロット。そろそろ限界に近かったんだと思われます。これを書き上げる「いつか」は訪れるのか、今になっても予定は未定です。

(5)USB様作KPレスCoCシナリオ「最後の葬式」(2020.08.08)https://fusetter.com/tw/Bqa0Ktwb

草加葵が大好きな方々に囲まれ、濃厚なRPを堪能したセッションでした。草加あめと8ヶ月ぶりに会話ができて興奮したのをよく覚えています。この時の音源データは大切な記録です。

(6)色猫卓様「軋む籠」踏破SS(2021.01.17)https://fusetter.com/tw/WVHHHMna

短編を書かなかった半年間のうちに、猫の心の中にいる草加葵が少々変貌しているように感じていたので、それを何とか書き起こそうと努力した短編でした。当時の彼には、何かきっかけがあれば転がり落ちそうな危うさがあった気がします。

(7)今後の草加葵の扱い(2021.02.07)https://fusetter.com/tw/HyQbyIHM

そんな中、とあるシナリオで草加葵がロストしました。SAN0で自死しましたとも(RP楽しかったです)。その際、「探索者(≒自分)という存在が神話事象を引き寄せる」という認識を持つようになったのは、彼にとって大きな変化でした。

その後、KPと事前に約束していたとおり救済シナリオを回していただいて復活を遂げたのですが、簡単に生死を覆したくなかったため、次の週に踏破予定だった「カタシロ」が終わったら、草加あめの目が覚めるまで生死不明の扱いとすることに。

これをきっかけに草加葵は失踪。関係各位に衝撃を与えました。当時、たくさんの反響(イラストや短編)をいただき、猫もいい意味で驚きました。本当に有り難い話です。

(8)草加葵の失踪について(2021.02.10)https://fusetter.com/tw/JN7KCvd7

(9)「カタシロ」終盤の書き起こし(2021.02.22)https://fusetter.com/tw/JSHgpphq

「カタシロ」終了後、草加葵はしばらく探索者としてセッションに参加させないことにしました。彼の身体に変化が生じましたが、それも消息を絶つ動機の一つとなりました。

(10)「探索者天下一武道会in羽星市」後、失踪中の男の話。(2021.04.11)https://fusetter.com/tw/hkwBZoXm

「武道会はセッションではないのでセーフ」という謎理論に基づいて草加葵を持ち出した反動で書いた短編です。簡単に言えば我慢できなかった。この時に、我家さんには生存を確認されています。

(11)質疑応答的な短編(2021.04.29)https://fusetter.com/tw/KJHKDIcC

売り言葉に買い言葉で書く羽目になった、草加葵への質疑応答集。何故か8000字以上あります。途中で猫の方が根負けしそうになりました。失踪後の彼の深掘りができて、想像がさらに膨らんだので結果的には満足です。

(12)現在進行形で失踪している某自探索者について(2021.07.12https://fusetter.com/tw/XvdkplmE

出勤途中に降りてきた啓示を基にした「もう一度草加葵がSAN0になったら」という妄想。最近は特にPLの思うとおりに動かない彼ですが、PLの手を離れたらすぐにでも暴走しそうな雰囲気があって怖いです。

(13)にこいち(海月水母)様作「2PL←→1set」踏破記念SS。今の草加葵から霧原かすみへの所感。(2022.01.17)https://fusetter.com/tw/KTerACCp

目が覚めるまで残り僅かになった頃、霧原さんと掛け合いをしたいという欲に負けて草加葵を解禁したセッション後の短編。頭文字を縦に読んでも意味が通じるように一行の文字数を決めて書いた、実に面倒な縛りをした短編です。もう二度としないと思います。

(14)2022年エイプリル・フール「あめデレラ ーAmederellaー」まとめ(2022.04.02)https://fusetter.com/tw/RKfhcnBY

運命の日まであと数日となったエイプリル・フールネタのまとめ集。本来なら、今年は今回の短編に向けた準備(主にイラストを描くこと)をする予定でしたが、前日に思い浮かんでしまったネタを消化するために執筆。ついでに、今回の予告も兼ねようと思って、今回の短編で書いた最初の数文を最後に出しています。「寝ている間、あめちゃんにはこんな感じの温かい夢を見ててほしい」と思った短編でもあります。

余談ですが、草加あめが目を覚まさなくなる前に書いた短編「葵君、草加探偵事務所を発つ」に登場している探索者は全員出そうと目論んでいました。

こうして並べてみると結構書いていますね……。我ながら葵君大好きすぎでは??